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p.28 抽出テキスト

3.4 冠動脈CT 造影

近年普及している320 列多列検出器型X 線CT 装置(MDCT)をはじめとして,機器・解析技術の進歩により空間分解能が向上した.そのため,狭窄病変の評価精度は向上し223),CAG 検査の一部を代換することが可能になっている.末梢静脈からの造影剤注入で行われるため,CAGに比して低侵襲である.MRA に比して冠動脈枝全体の観察が可能で画像分解能も高い.完全閉塞に伴う側副血行路の評価により有用だとする報告がある224).また撮像時間が短く225),鎮静が必要な乳幼児には大きなメリットである.一方,放射線被曝,造影剤の使用,心拍調節のためのβ遮断薬の使用といったデメリットがある.

近年は画質を担保しつつ被曝線量低減の努力が行われてきた.320 列MDCT を用いて実効線量を従来の1/5 に低減することができたと報告されている226).またdualsource CT(DSCT)を用いて実効線量を1 mSv 以下に抑えることが可能となってきた227, 228).心拍コントロールのための検査前β遮断薬は,国内では半減期の短い静注薬が使用可能となっている229).小児に施行する際は,各施設で被曝線量低減のために低電圧撮影,心電図同期といった設定の準備を行うべきである.また,β遮断薬の量や使用法についてプロトコールを準備すべきである.

CTA 検査時に,冠動脈壁のCT 値から石灰化面積を計測して算出するCT カルシウムスコアが冠動脈予後予測に参考になると報告されている230).画像検査の推奨とエビデンスレベルを表11 に示す.

3.5 MRI

心臓MRI では,冠動脈形態,心筋性状,心機能および壁運動の検査が可能であり,成人領域においてはこれら3項目の評価は確立している.川崎病遠隔期においては冠動脈形態の評価が主たる目的となる.Stress perfusion および遅延ガドリニウム造影(LGE)といったMR 心筋造影による心筋性状評価231–234),またcine MRI による心機能・壁運動評価235)は,成人の虚血性心疾患の評価において高いレベルで有用性が蓄積されているが川崎病への応用実績がまだ少ないため,表11 には推奨,エビデンスレベルを掲載していない.冠動脈瘤を有する小児に冠動脈MRI(MRCA)/心筋性状/ 壁運動を含めた心臓MRI による包括的評価が有用であったという報告がある236).

川崎病冠動脈の描出は,CAG と比較して近位部で86%以上,すべての部位では60% 以上で評価が可能とされている233, 236–239).画像分解能の限界で,90% 以上の狭窄で

は途絶したように表示されることがあるので注意が必要である.血管内腔,血管壁,血栓が明瞭に描出されるSpiral BB(2D black blood spiral k-space order TFE)撮影や任意の方向で血管形態を観察可能なVISTA-BB(volume isotropic TSE acquisition)撮影が形態評価に有用と報告されているが撮影可能な施設は限られている240).

MRI は放射線被曝がない,MRA においては造影剤を使用しない,壁性状の評価(壁在血栓と血管壁の性状)を明瞭に描出できる,全周性石灰化があっても内腔の描出ができる,といったメリットがある240).一方,検査時間が長く幼小児では鎮静が必要となる,高度狭窄程度を評価できるほど画像分解能が高くない,CTA に比して撮影条件の設定に熟練が必要といったデメリットがある.鎮静不要の8歳以上では,成人同等の撮像で十分な画質が得られるとされており,年長児以降でとくに有用な検査と言える.

MRI 検査の前には埋込型の医療機器の存在をスクリーニングしておく.ヨード造影剤よりリスクは低いものの,ガドリニウム造影剤も注意は必要である.まれであるが重篤な合併症として腎性全身性線維症(NSF)が報告されている241).ガドリニウムの脳内貯留の影響についても議論がされているがまだ一定の結論は出ていない242).

3.6 PET

川崎病においては15O-水を用いたPET での検討が行われ,CAL がない症例でも灌流域の負荷時myocardial flow reserve(MFR)が低下し,冠血管抵抗が上昇することが報告された133, 214).2012 年に13N- アンモニアを用いたPET が保険適用となり,心筋血流シンチグラフィーよりも高画質かつ低被曝で心筋血流量の絶対値を得られるようになった.2015 年に18F-FDG を用いた,CT と組み合わせたPET/CT スキャナーにより,巨大冠動脈瘤部の慢性炎症の改善を評価した症例報告がされている243).

4 心カテーテル検査

4.1 CAG

【要旨】• 心筋虚血所見の認められる患者ではCAG を行う(推