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p.20 抽出テキスト

内で136, 138),それ以降起こることはまれである139).冠動脈拡張が川崎病発症後1 ヵ月以上継続する症例が川崎病心臓血管後遺症と定義される.拡張した冠動脈はその後血管内膜の増殖をきたし138),拡張した冠動脈内腔は狭小化へと向かう(ネガティブリモデリング).心臓血管後遺症を有する症例の約半数が1 年以内に退縮するとされるが140),瘤が大きいほど退縮することは少なくなり,巨大瘤では完全に退縮することはまれである136, 141, 142).瘤が残存した場合,瘤内では血流の乱流と血管内皮の機能障害から血栓形成のリスクが増大する.冠動脈血栓性閉塞とそれに伴う急性心筋梗塞は川崎病発症2 年以内に好発する121, 136).一方,冠動脈閉塞や狭窄は過度な内膜の増殖によっても引き起こされる.中膜の血管平滑筋細胞が血管炎によって破壊された内弾性板を超えて大量に内膜に遊走し,形質転換すると増殖し細胞外マトリックスを大量に産生し,内膜の増生をきたす.形質転換した血管平滑筋細胞は遠隔期においても盛んにVEGF,TGFβ,bFGF,PDGF-A といった増殖因子を発現し,肥厚した内膜内に血管新生を誘導しており,さらに長期にわたる血管リモデリングをきたすこととなる109, 121)(図3).冠動脈の狭窄はとくに冠動脈瘤の流入部や流出部に好発することが知られており121, 143),同

部位では血行動態的にずり応力が高い.Tsuda らによれば, 15 年の経過観察で6 mm 未満の瘤では狭窄を生じなかったのに対し,6 から8 mm の中等度の瘤では58%,8 mm以上の巨大瘤では74% に狭窄が生じる4).また,退縮して冠動脈造影正常とみえた血管であっても血管内皮機能の異常は継続しており144),活発な血管リモデリングも継続し,時に退縮部の狭窄や閉塞121),ACS 145)を認める.まれではあるが縮小した冠動脈瘤の再拡張(ポジティブリモデリング)を認めることもある146).川崎病では冠動脈狭窄・閉塞によって心筋虚血が惹起されたとしても,臨床的に無症候性のことも多く137),そのような症例では虚血部への側副血管の発達を認める121).しかし,心筋虚血は突然死のリスクとなり得るため早期に発見し,可能であれば再灌流療法を行うことが望ましい. Suda 141)らの報告では,とくに巨大瘤では,生命予後は発症30 年で88% とされるが,心イベントの発症は発症25 年で59% となっており,より注意深い観察が必要となる.

さらに川崎病CAL では冠動脈壁の高度な石灰化が特徴である.病初期に6 mm を超える動脈瘤では遠隔期での石

図3 川崎病の合併症としての冠動脈瘤の長期予後

冠動脈瘤瘤の残存

石灰化

閉塞

心筋虚血心筋梗塞

側副血行路の発達

退縮(regression)

内膜の過増殖狭窄性病変心筋虚血

主として血管平滑筋の増殖と細胞外マトリックス産生に伴う内膜の肥厚

血栓性閉塞心筋虚血心筋梗塞再疎通

血栓

側副血行路の発達