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ことが望ましく,症状が揃わなくても第7 病日には治療を行うことが勧められる. 第2章 病理と冠循環動態,長期的予後 1 病理 【要旨】• 川崎病の発見から50 年以上経過し,心臓血管後遺症 を残しつつ成人となった症例は10,000 ~20,000 人に達すると推測される. • 川崎病冠動脈炎は川崎病発症第10 病日ごろに全層性 の血管炎となり,第12 病日ごろに拡張性病変を形成し,第40 病日ごろに炎症は沈静化する. • 川崎病初期の冠動脈異常は拡張性病変であり,第30 病日以降の時点で画像診断上の冠動脈異常を心臓血管後遺症と定義され,その後拡張性病変は縮小傾向に向かう. • 病理組織学的には,内膜に遊走し増生した平滑筋細 胞による全周性肥厚により拡張性病変の内腔縮小化をきたしており,遠隔期においても活発なリモデリングを生じている. • 瘤形成のない川崎病既往例での長期予後については いまだ統一した見解が得られておらず,今後も継続して検討される. 1.1 冠動脈障害 川崎病は系統的血管炎の中でも中型血管炎に分類され98),もっとも高頻度に侵襲されるのは冠動脈である.治療の進歩により冠動脈拡張などの心臓血管後遺症発生率は1983 年の16.7% から2017 年には2.3% へと低下した. 1970 年代には1% を超えていた致命率も,現在では0.01% に低下している6).このように心臓血管後遺症の発生頻度は著しく低下しているが,川崎病の報告から50 年以上が経過した現在,川崎病既往総数は36 万人を超えている.このうち,20 歳以上の成人期に達した川崎病既往者は15万人,40 歳以上の既往者は15,000 人に達すると推定される6).1990 年以前の心臓血管後遺症発生率は10% を超えていたと推測されることから,現在10,000 ~20,000 人の川崎病既往成人例が冠動脈瘤をはじめとする心臓血管後遺症を残しつつ生活していることになる. 1.1.1 急性期冠動脈炎の概要 川崎病冠動脈炎は発症後6 ~8 日頃,動脈の内膜および外膜の炎症細胞浸潤として始まる.第10 病日頃,動脈壁全層の炎症に至るのと同時に,動脈全周の炎症に進展する.動脈壁のおもな構成成分である内弾性板や中膜平滑筋細胞は,好中球,単球/ マクロファージにより障害され,第12病日頃動脈拡張が始まる99, 100).高度の炎症細胞浸潤は第25 病日頃まで継続し,第40 病日頃には炎症はほぼ鎮静化し瘢痕治癒する.これらの冠動脈炎の経時的推移の検索結果は,心合併症の発生を予防するための治療は炎症により動脈構築が破壊される第10 病日までに終了されなければならないことを示している. 1.1.2 心臓血管後遺症 a.定義 いったん拡張した動脈が第29 病日以内に画像上正常化した場合を一過性冠動脈拡大,そして第30 病日以降の時点で確認された画像診断上の冠動脈異常が心臓血管後遺症と定義される97). b.瘤の縮小,退縮動脈 第30 病日以降に残存した瘤の多くは回復期以降,縮小