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p.61 抽出テキスト

約20~40%に検出されるが,非家族性のなかにもいまだ明らかにされていない遺伝子変異(詳細は第4章4.11 遺伝子検査を参照)が多く関連していると予想される469).多くの既知の原因遺伝子は,直接心収縮に関連するサルコメア蛋白をコードする遺伝子や心収縮力を伝達する役割を担うジストロフィン関連蛋白をコードする遺伝子,細胞内カルシウム調節に関与する蛋白の変異である.欧州で実施された大規模な次世代シークエンスによる拡張型心筋症のゲノムコホート研究では,38%以上で複数の変異を認め,13%に3つ以上の変異を検出したと報告されている470).

一方,遺伝子変異が外因性あるいは環境因子により影響をうけることも明らかになってきた.近年,ゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Studies; GWAS)に

より同定された,複数の感受性遺伝子の累積効果を数理モデルにより予測するポリジェニックリスクスコアが開発されるなど,単一遺伝子異常のみで説明できない遺伝素因の考え方に基づいたリスク評価の試みも始まっている.実際,これらの技術により,生涯における環境因子との組み合わせによって心筋症発症リスクを予測することが可能になると考えられる471).

2.2.2 非遺伝性(非家族性)

非遺伝性の拡張型心筋症の原因についてはいまだ不明である.これまでの知見をふまえると,何らかの慢性炎症

表40 拡張型心筋症と鑑別すべき主な二次性心筋症(特定心筋症)

心筋の異常による心筋症虚血性心疾患心筋梗塞,スタニング,ハイバネーション,微小循環障害ストレスなどたこつぼ心筋症妊娠周産期心筋症自己免疫疾患関節リウマチ,多発性筋炎,SLE,混合性結合組織病など

心毒性物質習慣性物質アルコール

重金属銅,鉄,鉛,コバルト,水銀薬剤抗癌剤,NSAIDs, 麻酔薬, 抗ウイルス薬など

炎症感染性ウイルス性,非ウイルス性心筋炎

非感染性サルコイドーシス

浸潤性疾患アミロイドーシス,ヘモクロマトーシス内分泌疾患甲状腺機能亢進症,クッシング病,褐色細胞腫,副腎不全,成長ホルモン分泌異常など代謝疾患糖尿病,肥満

先天性酵素異常ライソゾーム病ファブリー病

糖原病ポンペ病ムコ多糖症ハーラー症候群,ハンター症候群

神経筋疾患,全身症候性筋ジストロフィー,ラミノパチー,ミトコンドリア病など機械的負荷(圧負荷・容量負荷)による心筋症高血圧高血圧性心疾患

心臓の構造異常先天性先天性弁膜症,その他の先天性心疾患

後天性弁膜症

心内膜の異常好酸球増多心内膜炎(レフレル症候群),心内膜弾性線維症高心拍出によるもの重症貧血,甲状腺機能亢進症,骨パジェット病,動静脈瘻,脚気心不整脈による心筋症

徐脈性洞不全症候群,房室ブロックなど頻脈性心房細動,心房頻拍など