GL検索 v0.1.0
画像は 54 ページを描画したものです
page 54

p.54 抽出テキスト

で,心音異常や心雑音,心電図異常を契機に無症状の肥大型心筋症が診断されることがある.失神や胸痛による受診,他の理由による心電図記録や胸部X線,他の発端者に伴う家族検診などにより肥大型心筋症の診断に至ることもある.

学校心臓検診では,問診表に胸痛や失神の既往や突然死の家族歴の記載がある場合には,心電図が正常でも二次検診に抽出し,必要に応じて三次検診で精査を行う.心電図所見は,年齢別基準405)を参考に,QRS波高電位差,左房ないし右房負荷,ST-T波異常,Q波異常,不整脈などがあれば,肥大型心筋症も鑑別に含めて二次検診さらに三次検診へと進める.RaVL+SV2>23mmが小児肥大型心筋症のスクリーニングに適しているとの報告もある406). 2017年に日本人小児の年齢別心電図所見正常値が新たに発表され407),今後小児肥大型心筋症の心電図診断基準が見直される予定である.心臓MRI所見で線維化を反映するガドリニウム遅延造影(LGE)は,小児期でも約半数に観察され,経年的に増加するとの報告がある408).

この時期に診断される肥大型心筋症のなかには,Danon病や心ファブリー病なども含まれる.心ファブリー病は,酵素補充療法が可能であり早期診断が望まれる.Danon病は,10代で発症し,ミオパチーが軽症であるため見逃されている可能性が高い.

6.6.3 小児特発性肥大型心筋症の治療

肥大型心筋症の治療の目的は,心機能の改善と症状の軽減,合併症(突然死,不整脈,塞栓症,感染性心内膜炎)の予防,生命予後の改善である.個々の疾患の病態に基づき,薬物療法と非薬物療法の適応を検討するとともに,内科的には生活指導を含めた総合的管理が重要になる7). a. 閉塞性肥大型心筋症の場合i. 一般的注意事項

左室流出路における心エコー血流ドプラ法ピークで30mmHg以上を有意な左室流出路狭窄(LVOTO)と考える.症状の有無にかかわらず,脱水や過剰な運動は避け,肥満にならないよう生活指導する.症状(胸痛,動悸,息切れ,易疲労など)がある場合は,中等度および強い運動を禁止する(学校生活管理指導表BないしC区分) (図21).アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)などの血管拡張薬やジゴキシンはLVOTOを悪化させるので避ける.新規発症の心房細動(Af)は早期に洞調律に戻す. ii. 薬物療法の適応

ハイリスク児や有症状児では成人の場合と同様に薬物療

図21 小児の肥大型心筋症の治療・不整脈

抗不整脈薬・突然死ICD・感染性心内膜炎生活指導抗菌薬・塞栓症抗血小板薬

肥大型心筋症

閉塞性非閉塞性拡張相危険因子

合併症対策

症状(-)不整脈(-)

(B,C区分)

運動制限

心筋切除術(B,C区分)

運動制限

薬物治療β遮断薬カルシウム拮抗薬利尿薬

心臓同期療法補助人工心臓心臓移植

症状(+)

(D区分)

運動制限

経過観察(β遮断薬?) (B,C区分)

運動制限

薬物治療β遮断薬ACE阻害薬またはARB利尿薬ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

薬物治療β遮断薬カルシウム拮抗薬シベンゾリンまたはジソピラミド