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p.49 抽出テキスト

を合わせて行う,RPR repairという考え方が浸透している341).

中隔心筋切除術後は,症状を改善するだけではなく生存率も改善し,非閉塞性と同等の生命予後が期待できる342, 343).治療経験が豊富な施設では,90%以上の症例で左室流出路閉塞が解除され,再発はほとんどみられない. 70%以上の症例で5年以上にわたり,心不全の改善,運動能力の向上がみられ,10年生存率は72~88%である.とくに若年の症例では,同手術の成績は良好であり,若年例では第一選択とすべきである.一方,手術死亡は3.2~ 4.6%(経験豊富な施設では0~2%)と報告されている.手術死亡の危険因子としては,高齢,術前のNYHA class IV,および肺高血圧症があげられる342, 344, 345).

周術期合併症として,死亡,房室ブロックに代表される徐脈性不整脈,脳梗塞,心タンポナーデ,頻脈性致死的不整脈(持続性心室頻拍および心室細動),心室中隔穿孔,大動脈弁損傷,冠動脈瘻などがあげられる346). iii. 経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)

PTSMAとは,閉塞性肥大型心筋症において,左室流出路あるいは左室中部に圧較差が生じる一因である肥大心筋に対し,肥大心筋を灌流する冠動脈,多くは左前下行枝から分岐している中隔枝を介してエタノールを注入し,肥大心筋の菲薄化を図り,最終的に圧較差の軽減を得る手技であり,中隔縮小治療の1つである.

治療成績の報告は,欧米からの報告が多い347, 348).対象症例数は研究によりばらつきはあるが,多くても600~ 700症例,観察期間としては長いもので10年である.手技に伴い新規に恒久的ペースメーカー挿入が必要となる率は10~30%,院内死亡率は1~2%,再度PTSMAが必要となる率は5~15%,5~10年生存率は80~95%であった348-353).最大規模のレジストリー(The Euro-ASAレジストリー)からの報告では,PTSMAに伴う周術期合併症は低く,また長期死亡率も低率であり,重症症候性閉塞性肥大型心筋症に対してPTSMAは症状軽減および左室流出路閉塞の解除に有効な治療法であると結論づけた354).ただし,術後の左室流出路閉塞の増悪は,症状および予後の悪化と関連があり,流出路閉塞解除のため,適切な治療が選択されるべきとしている.

合併症として,頻脈性不整脈(心室頻拍,心室細動)および徐脈性不整脈(完全房室ブロックなど)のほかに,エタノール注入,カテーテル手技や一時的ペースメーカー挿入,留置に伴う合併症がある.完全房室ブロックについては,注入したエタノール量と関連があるという報告もあり,焼灼心筋量が多ければ合併率は上昇するが,エタノール量が少なくても中隔最基部を栄養する中隔枝にエタノールを注入した場合は併発する場合もある.手技中の完全房室ブ

ロック合併は,血圧低下をきたし,ときとして手技の継続を困難にすることがあるので術者は合併した際の対応について習熟する必要がある.

若年者に対しては,中隔心筋切除術を施行するべきと考えるが(特別な状況を除いてPTSMAを治療の選択肢として考えるべきではない),中高年に対しては,はっきりとした年齢での線引きがあるわけではない.過去の文献に基づいて65歳未満は中隔心筋切除術,65歳以上は両者いずれも選択可能という意見348)もあるが,最近では50歳以下の症例でもPTSMAの成績は容認できるという報告355)もあり, 40歳以上の症例については,単に年齢だけではなく症例ごとに背景因子やさまざまな検査所見(経胸壁あるいは経食道エコー,心臓CT,CMRなど356-358))をふまえて,循環器内科医,心臓血管外科医などで構成されるハートチームで議論し,どちらが当該症例にとって有効な治療かを検討するのが望ましい.

術者経験:PTSMAは,他の侵襲的治療同様,経験により治療成績が左右される.2011年ACCF/AHAガイドラインにおいて,経験のある術者とは,20例以上の第一術者としての経験,50例以上の治療経験のある施設で手技に携わっていることと定義されている.2011年ACCF/AHA 6)および2014年ESCガイドライン7),わが国の先天性疾患,心臓大血管の構造的疾患に対するカテーテル治療のガイドライン(2014年版) 331),いずれにおいてもクラス Iとして,経験のある術者により施行されるべき,とされている.本ガイドラインでも術者は10例以上の治療経験,施設が20例以上の治療実績を要する,をクラスIとした. iv. DDDペーシング(表33)

以前は,左室内圧較差軽減に有効であるという報告も散見されたが,欧米で施行された無作為化クロスオーバー比較試験であるThe Pacing In Cardiomyopathy(PIC)study 359)とM-PATHY(Multicenter Study of Pacing Therapy for Hypertrophic Cardiomyopathy)

360)により,その有効性は否

定された.その後は,薬物療法抵抗性有症候性の症例では,左室内圧較差軽減目的の治療は,中隔縮小治療が第一選択とされ,前述の理由があるときのみ本治療は選択を考慮される(第3章6.3.2 非薬物治療の項参照).肥大型心筋症では,左室拡張能が低下しており,右室ペーシングのみでは左房収縮による左心室への流入が減少するため,心房収縮に同期した,AV間隔を自由に設定できるDDDペーシングが選択される.

合併症として,感染,植込み部位の違和感およびペースメーカー電極のdisplacementが挙げられている361, 362).