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p.45 抽出テキスト

a. β遮断薬

β遮断薬は,陰性変力作用および陰性変時作用を有しており,左室内圧較差を軽減する効果が期待される.閉塞性肥大型心筋症のなかでもとくに閉塞により交感神経が賦活化し,過収縮に陥っている症例には有効であると考えられる.つまり,安静時の圧較差よりも労作時の圧較差を軽減する効果が期待できる薬剤である323).忍容性が高く,副作用に関しても徐脈,血圧低下には注意が必要であるが,副作用が大きな問題となる症例はそれほど多くはない.

投与方法は通常,初回は低用量から始め,効果,副作用の点を十分考慮して,可能なかぎり最大投与量まで増加させることが望ましいが,現実的には,症状の軽減の程度,血圧,心拍数から,症例ごとの最終投与量を決めることになる.胸痛や労作時の息切れなどの自覚症状軽減効果があるとされる.上述の左室内圧較差の他に拡張障害,相対的心筋虚血改善効果を有する.明確なエビデンスはないが, α遮断作用(血管拡張作用)を有しないβ1選択性のβ遮断薬使用が望ましい.致死的不整脈予防の観点からのβ遮断薬投与は,エビデンスがない324, 325). b. カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は,β遮断薬が何らかの理由(副作用など)で投与できない症例に投与する.陰性変力作用,陰性変時作用による左室内圧較差軽減を期待して用いられる.安静時および労作時の圧較差軽減,拡張障害の改善効果が期待される.過去に有効としていた報告はべラパミルによるものがほとんどであり,また,用量も通常わが国で用いられる用量よりも多く,用いる場合は副作用に注意しながら最大耐用量まで増加することが望ましい.なお,過去の報告ではべラパミル投与による収縮期血圧低下に伴う左室内圧較差の上昇がみられており326),β遮断薬と同様,副作用の有無,血圧,心拍数を確認しながら適切な用量を決定する.

ジルチアゼムについては,ほとんどエビデンスがなく295),β遮断薬およびべラパミルが投与できない症例に対してのみ選択を考慮する7).なお,血管親和性が高く,強い血管拡張作用を有するジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(ニフェジピン)は,左室内圧較差を増加させるため使用すべきではない298).

図20 肥大型心筋症患者のICD 植込み適応フローチャート註:第1度近親者の突然死の家族歴は,2011年ACCF/AHAガイドラインでは,とくにリスクの高い因子としている6).本ガイドラインにおける取扱いには議論があった.日本人の肥大型心筋症の予後の報告において,突然死の家族歴がとくにリスクの高い因子であるか結果が一致しなかったため,本ガイドラインでは,本リスク単独ではICD植込み適応とはしなかった315, 315a, 315b).

ICD植込み(2次予防) クラス I

ICD植込み(1次予防) クラスIIa

ICD植込み(1次予防) クラスIIb

ICD植込み(1次予防) クラスIII

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes No

No No

No

No

No

心室細動・心室頻拍による心停止の既往持続性心室頻拍の既往

主要リスク因子のうち下記のいずれかを有する・ 最近の心原性あるいは原因不明の失神・ 左室壁厚30mm以上の著明な肥大・ 2014 ESCガイドライン計算式 ハイリスク

主要リスク因子のうち下記を複数有する・ 突然死の家族歴・ 非持続性心室頻拍・ 運動時の血圧反応異常

主要リスク因子のうち下記を1つのみ有する・ 突然死の家族歴・ 非持続性心室頻拍・ 運動時の血圧反応異常

修飾因子を有する修飾因子を有する