GL検索 v0.1.0
画像は 41 ページを描画したものです
page 41

p.41 抽出テキスト

5.2.2 心不全の診断と重症度評価

肥大型心筋症による心不全の診断・重症度評価は一般的な心不全診療に準じる.自覚症状および理学所見から心不全が疑われた場合には,血漿ナトリウム利尿ペプチド(BNPないしNT-proBNP)値を含む採血検査・検尿・心電図・胸部X線写真等を行い診断の妥当性を検討する.とくに心不全の補助診断法として確立しているBNPは肥大型心筋症においても有用であり274),左室肥大や左室内圧較差だけでなく275, 276),心不全の重症度277),運動耐容能278),さらには臨床予後とも関連することが報告されている279).これに加えて心エコー検査での心機能ならびに血行動態の評価,運動負荷試験による運動耐容能の評価,Swan- Ganzカテーテルによる血行動態の評価によって総合的に重症度を判断する.

5.3 失神

約2割の患者で認められ,頻脈性および徐脈性不整脈,脱水,左室流出路圧較差や異常血管反応などによる血圧低下など,原因は多岐にわたる.原因不明の最近の失神は,突然死の危険因子としてとくに重要である.

5.4 診断フローチャート

図18に診断へのフローチャートを示す. 6 治療

6.1 一般的治療

肥大型心筋症に対する治療のフローチャートを図19に示す.閉塞性(流出路狭窄,第3章6.3参照)や上室性不整脈に対する治療(第3章6.4参照)は別項目に記載する.

非閉塞性肥大型心筋症では,β遮断薬やカルシウム拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)が肥大型心筋症の拡張障害に起因する自覚症状を改善する対症療法として使用されるが,確立したエビデンスは多くない280, 281).β遮断薬は心拍数の減少(陰性変時作用)によって拡張時間を延長し,運動時の頻拍に伴う左室拡張末期圧の上昇を抑制することが確認されているが282, 283),左室心筋障害(拡張相肥大型心筋症への移行)を抑制することはできず,生命予後の延長に結びつくエビデンスはない.β遮断薬はβ受容体サブタイプの選択性,内因性交感神経刺激作用(ISA)の有無,膜安定化作用(MSA)の有無,α遮断作用の有無により分類されている.β1選択性か非選択性のどちらがより適しているかは現在のところ明らかではないが,気管支喘息などの合併例ではβ1選択性のβ遮断薬が好ましい.また, α遮断作用やISAを有しているものは適応とはならず,組織移行性のよいβ遮断薬の選択を考慮すれば水溶性より脂溶性が推奨される.

カルシウム拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)はβ遮

図18 肥大型心筋症の診断フローチャート

自覚症状/心電図異常

病歴,身体診察,家系図作成,採血検査,心エコー検査,CMR,心臓核医学検査,心臓CTなど

病態評価胸部不快感/胸痛息切れ

肥大型心筋症疑い

(心筋生検,特殊検査)

肥大型心筋症診断確定

肥大型心筋症の病型把握(圧較差の有無など),突然死のリスク評価,不整脈のチェック,遺伝カウンセリング, (遺伝学的検査)

二次性心筋症

二次性心筋症

失神/めまい動悸心電図異常