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呈し,偏光レンズ下ではアップルグリーン色の複屈折性を示す(図17D).電顕では幅8~15nmの細線維状である249, 251).これまでに判明した30種以上のアミロイド前駆蛋白のうち心機能障害の原因となるものには免疫グロブリン性アミロイド(AL:通常は軽鎖由来),ATTR,Amyloid A蛋白(AA),Aβ2Mなどがある.かつて原発性アミロイドーシスとされ骨髄疾患ないし骨髄腫に合併するアミロイド蛋白は大部分がAL蛋白であり,心不全は急速に進行する.老人性全身性アミロイドーシスは野生型ATTRの沈着によるが,まれに家族性アミロイドポリニューロパチー同様に変異型TTRによる心アミロイドーシスも報告されている252, 253).関節リウマチや結核などの慢性炎症後の二次性アミロイドーシスはAAによる.前駆蛋白の確定は予後の推定や治療に関連し,臨床情報を加味して免疫染色による同定や専門施設へ解析を依頼することも可能である235, 236). b)ファブリー病(Anderson-Fabry病) α‐galactocidase(ceramide trihexoside 分解酵素)の欠如または低下が先天的にみられる遺伝性脂質代謝異常である.X連鎖劣性遺伝病であるが,女性保因者にも発症する.ヘテロ接合体では個体差も大きく,また重症型は小児期に発病するが,家族歴が明らかでなく中年以降にceramide trihexosidaseの蓄積が増加し,心エコー検査などで,肥大心が指摘され肥大型心筋症を含めた鑑別目的に心筋生検が施行されることがある.組織所見上,心筋のHE染色では心筋の空胞化がみられ,高度な場合は編み目状(network pattern)を示す.globotriaosylceramide(Gb3またはGL3)の免疫染色で陽性となるが,判定が難しい場合もある(図17E).電顕ではライソゾームへのセラミドの沈着によりミエリン様の渦巻状沈着物(myelin figure)が心筋内に観察される(図17F).ただし,このような渦巻状沈着物はその他のライソゾーム蓄積病に共通する所見であり,血清学的なα‐galactocidaseの活性異常あるいは遺伝子検査による診断確定が必要である.なお電顕標本の作製に先立って作られるトルイジンブルー染色切片でも心筋内にオウミウム好性沈着物の検出が可能であり,スクリーニング法として有用である249). c)糖原病 まれな疾患であるが,心症状を呈するType II,III,Vが知られている.この中でもType II(Pompe病)が重要である.先天的にacid α‐1,4glycosidaseが欠損しているため,全身にグリコーゲンが沈着するが,とくに心臓と肝臓への蓄積が著しい.心肥大を顕著に認め,多彩な臨床症状を呈する.心筋生検標本では心筋細胞の胞体が空胞化し独得のレース状を呈し,この部分はPAS染色陽性となる.電顕ではライソゾーム内にグリコーゲン顆粒が認められる.また近年,肥大型心筋症様の病態を示し,ライソゾー ム関連膜蛋白2(LAMP2),PRKAG2の変異を示すDanon病(Type IIb,自己貪食空胞性ミオパチー)が報告されており,若年者の肥大型心筋症の場合,これらの疾患の鑑別が望まれる249, 254). d)ミトコンドリア心筋症 心筋内ミトコンドリアは種々の病態,たとえば虚血,心肥大などにいち早く対応して,数の増加等を示す小器官である.したがって,心筋生検(電顕)上のミトコンドリアの形態変化の多くは非特異的であるが,ミオパチー,糖尿病,聴覚障害等を伴い,心筋にも異常ミトコンドリアの増加が認められる場合などでは,ミトコンドリア心筋症が鑑別にあがる255).診断確定にはミトコンドリア酵素活性や遺伝子レベルでの検索が必要となる. 4.8 遺伝子検査および家族スクリーニング (遺伝カウンセリング含む)(表25~27) 4.8.1 遺伝子診断にあたって 心臓血管疾患における病態解明は急速に進歩しており,心筋症においても例外ではない.とくに分子遺伝学の進歩により,従来原因不明とされていた心筋症の原因遺伝子が同定され数多くの変異が報告されている. 2003年,わが国の遺伝医学関連10学会および研究会は,診療行為として位置づけられる遺伝学的検査に関する統一したガイドライン「遺伝学的検査に関するガイドライン」を提案した256).このガイドラインの中では,遺伝学的検査を行う際には事前に“遺伝カウンセリング”を行うことが必須であることが明記され,このことは他のガイドラインでも同様に扱われ257-261),遺伝カウンセリングの重要性が以前にも増して重視されている. また,当然十分なインフォームド・コンセントが必要であることは大前提であり,さらに,遺伝情報が最高度の個人情報であることから,その扱いについてはきわめて厳格な規則のもと,厳重に管理されることが必須とされている.日本医学会は2011年,「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」を公表した262).医師等が医療の場において遺伝学的検査・診断を実施する際に留意すべき基本事項と原則がまとめられている.日本循環器学会でも「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」を作成し263),部分改定したものを2010年に発表している264).心筋症の遺伝子診断に当たっては,同ガイドラインの内容を把握し,これを遵守することを強く要望する.