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p.35 抽出テキスト

断のための心筋生検をルーチンに行う必要はない.しかし,二次性心筋症が疑われ,他の検査法で診断できない場合は,鑑別診断のための心内膜生検は有用である(表23). b. 肥大型心筋症ならびに関連する主な二次性心筋症の病理i. 肥大型心筋症の肉眼病理所見

肥大型心筋症は臨床的に心臓の壁厚の増加などvolumeの大きくなったもので,大動脈弁狭窄,高度の高血圧などによる明らかな原因が存在しない場合の診断名である.肉眼病理的に肥大型心筋症の心筋肥大は15mm以上の壁厚を示すことが多いが,びまん性に起こるとは限らず,不均等な壁肥厚を示す(図16A,B).特徴的な錯綜配列は心基部寄りの心室中隔や前壁に多く,典型例では左室後壁に対する心室中隔厚の比が1.5以上で,非対称性中隔肥大(ASH)を示す.

肥大型心筋症における遺伝子型と表現型との比較では, myosin heavy chain(MYH7)変異では著明な肥大, troponin T(TNNT2)変異では軽度の肥大と催不整脈性, thin filament変異では若年発症,著明な拡張障害などとされるが,genotype-phenotype correlationの詳細は明らかではない15).ほとんどの肥大型心筋症患者は,その症状が軽く長期生

存し,とくに心筋の肥厚が心尖部に限局するもの(apical hypertrophy)は予後がよい.約15%に広汎な線維化を伴いながら,徐々に心腔が拡張していく拡張相肥大型心筋症(D-HCM)と呼ばれる病型がある.また,20~30%の症例では左室大動脈弁下の肥大による狭窄,閉塞を示す(いわゆる閉塞性肥大型心筋症[HOCM],かつて特発性肥厚性大動脈弁下狭窄[IHSS]と言われた病型も含まれる)

247).

若年性突然死例の病理学的検討では,虚血に関連した巣状の置換性線維化が示され,しばしば心室中隔に線維性瘢痕が認められる248).これらの領域はMRIでのガドリニウム遅延造影(LGE)の領域と関連している.MRIでは肥大型心筋症患者の50~80%に心室中隔中輪状筋層に巣状のLGEが認められる.左室全体の20%を超えるLGEは突然死の独立した予測因子とされている154). ii. 肥大型心筋症の組織病理所見

肥大型心筋症における病理組織学的診断で重要な所見は心筋錯綜配列(myocardial disarray)と心筋細胞肥大,核型不整である.これは,剖検心では乳頭筋の付着部近傍や左右両心室の中隔と前後壁の合流部にみられる生理的錯綜配列のある部位以外,多くは中隔や,前壁自由壁に認

表23 肥大型心筋症における心筋生検の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

心筋肥大を認める患者で,二次性心筋症が疑われ,他の検査法で診断できない場合IIa C C1 V

図16 肥大型心筋症:剖検例の肉眼病理所見

B

A

A:求心性肥大心であるが,心室中隔は2cmを超える壁肥厚を示す. B: 高度な中隔肥大と心尖部の菲薄化を認める例.通常右心室生検では□で囲んだ付近から採取され,組織は肥大,

配列異常を反映すると考えられる.