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p.30 抽出テキスト

型の透亮像を認めたり(W sign またはV sign),心尖部肥大型心筋症では心尖部で急に内腔が狭くなりトランプのスペード型となったり28),心室中部閉塞性心筋症では,左室中央部の心筋肥厚により左室腔は中央部が細くくびれて砂時計状あるいは瓢箪型を呈するなどの特徴的所見が得られる214).また,拡張相肥大型心筋症へ移行した場合には左室壁運動の低下と左室駆出率の低下,左室内腔の拡大を認める.

4.6.2 左心カテーテル検査

心内圧を直接測定することにより,拡張期コンプライアンスの低下や左室内の収縮期圧格差を正確に評価することが可能である.左室流出路もしくは左室中部の圧格差の測定は心エコー検査の連続波ドップラー法にて行われることが多いが,心エコー検査で正確な評価が困難な場合や, β遮断薬,Ca拮抗薬,Ia群抗不整脈薬などによる薬物療法,経皮的中隔心筋焼灼術,心筋切除術,あるいはペースメーカー植込み術などの侵襲的治療を考慮する場合,重症度の正確な評価と治療効果判定目的で左心カテーテル検査にて心内圧と圧格差を評価することは妥当である.収縮期圧較差を有する症例の大動脈圧波形は急峻な立ち上がりの後,駆出早期にスパイクを形成後下降し,再びドーム状に上昇し二峰性(spike-and-dome型)となる.安静時に30mmHg以上の有意な圧較差を認めない場合でも,バルサルバ法や心室性期外収縮後のBrockenbrough現象215)などにより有意な圧較差が誘発されることがあり,Labile obstructionの評価にも有用である15).なお,侵襲的治療の適応は,症候性で最大限の内科的治療を行っても安静時も

しくは誘発時の圧較差が50mmHg以上の場合に考慮する.

4.6.3 右心カテーテル検査

肥大型心筋症におけるルーチンでの右心カテーテル検査の有用性は証明されていない.心不全症状を認め,心エコー検査などの非侵襲的評価が困難な場合,標準的治療を行っても心不全症状が改善しない場合,閉塞性肥大型心筋症に対する侵襲的治療を考慮する場合,機械的循環補助や心移植の検討が必要な場合に血行動態評価目的で行われる.また,肥大型心筋症では右室流出路や右室内にも圧格差を生じることがあることが報告されており216),圧較差の正確な評価を目的に行うことがある.

4.6.4 心内膜心筋生検

次項(第3章4.7. 心内膜心筋生検・病理)参照のこと.

4.6.5 冠動脈造影検査

肥大型心筋症の主な症状の1つに労作時あるいは安静時の胸痛や胸部圧迫感があり,冠動脈疾患の合併が疑われる場合には冠動脈造影を検討する.年齢,性別や冠動脈疾患の危険因子などを考慮し,軽度から中等度の冠動脈疾患の検査前確率の患者では冠動脈CTの代用による除外診断でもよい217).肥大型心筋症に冠動脈疾患を合併している場合には予後が不良であることが報告されており218),検査前確率が高い患者,心停止蘇生後や持続性心室頻拍,過去にPCIを施行された症候性の患者などでは推奨され

表19 肥大型心筋症における心臓カテーテル検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

機械的循環補助や心臓移植の適応を検討する場合,血行動態評価の目的で行う右心および左心カテーテル検査I B B IVa成人で心停止の既往や持続性心室頻拍あるいはCCS クラス3 以上の狭心症状を有する場合,冠動脈疾患合併評価の目的で行う冠動脈造影I C B IVa心不全症状を認め,心エコー検査や心臓MRI などの他の画像検査にて評価が困難または不十分な場合,左室流出路や左室中部狭窄の重症度や左室充満圧の正確な評価の目的で行う右心および左心カテーテル検査IIa C B IVa経皮的中隔心筋焼灼術や外科的中隔心筋切除術の適応を検討する場合,治療対象となる心室中隔穿通枝の評価の目的で行う冠動脈造影IIa C B V冠動脈疾患の検査前確率が軽度から中等度で,CCS クラス3 未満の狭心症状を有する場合,冠動脈病変の評価目的で行う冠動脈造影IIa C B V心エコー検査や心臓MRI,心臓CT などの他の画像検査にて評価が困難または不十分な場合,左室形態ならびに僧帽弁逆流の評価目的で行う左室造影IIb C C1 V ※CCS; Canadian Cardiovascular Society