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p.29 抽出テキスト

4.5.2 心臓CT(表18)

臨床現場では造影CTが主であるが,その目的は心臓の形態評価と壁運動評価および冠動脈評価,心筋組織評価に分かれる.冠動脈評価では多列マルチスライスCTによる冠動脈狭窄の評価や閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)の中隔枝描出がその目的となる.後者では主にガドリニウム造影剤を用いたCMRでの遅延造影法による心筋組織評価がゴールドスタンダードになっているが,近年空間的解像度が優れた心臓CTによる評価に関する報告もなされている. a. 形態・機能評価

肥大型心筋症の形態診断に心エコー検査は必須であるが,ときに心エコー法の描出の困難な場合,CTやCMRが有用である.近年CTは,従来よりもさらに空間的解像度のよい像が得られ,壁運動の変化など機能評価も可能である.ただし,左室長軸像や短軸像での評価は困難であり,任意の断面像を得にくいという点では心エコー法やCMRに劣る.また,CTやCMRは心電図同期が必要なため,心房細動や不整脈患者での撮像が困難なときがある.さらに,呼吸によるアーチファクトも注意が必要である. b. 冠動脈評価

マルチスライスCTを用い,心拍数コントロールが十分な洞調律症例であれば冠動脈描出は可能である.症例数は少ないものの,閉塞性肥大型心筋症の心室中隔の外科的切除における肥大部位および冠動脈評価や,経皮的中隔心筋焼灼術のターゲットとなる心室中隔穿通枝の評価にも応用できることが報告されている208-210). c. 組織評価

肥大型心筋症ではCMRでのカドリニウムの遅延造影による組織評価が一般的である.しかし近年,心臓CTによる同様の遅延造影による組織評価も行われ,かつCMRとの比較に関する報告も散見される.少数例の検討ではある

が,両者の評価は症例別,心筋セグメント別であってもほぼ同等であり,またCMRではペースメーカー等デバイス治療後で施行が困難な症例であってもCTでは評価可能であることからCTの優位性を報告したものもある211-213).

4.6 心臓カテーテル検査(表19)

肥大型心筋症の診断における心臓カテーテル検査の目的は,1)左室造影検査による左室形態評価と僧帽弁閉鎖不全がある場合の逆流の評価,2)左心カテーテル検査による左室内圧測定と左室内圧較差の正確な評価,3)右心カテーテル検査による心拍出量測定や右心系の圧測定, 4)心内膜心筋生検による二次性心筋症の鑑別,5)虚血性心疾患が疑われる場合の冠動脈造影検査による冠動脈病変の評価,6)動悸や失神などの頻脈性あるいは徐脈性不整脈合併が疑われる場合のカテーテルアブレーションやペースメーカー治療検討を前提とした電気生理学的検査などである.

4.6.1 左室造影検査

肥大型心筋症が疑われる患者に対する左室造影は以前から行われていた検査であるが,現在では心形態評価は非侵襲的な心エコー検査やCMR,心臓CTなどで行われることが多い136, 138, 139).ただし,心エコー検査での評価が困難な場合,心房細動などの不整脈の合併やICDやCRTが植込まれているなどの理由でCMRや心臓CTが施行困難な場合には考慮される.

左室造影では,左室壁の肥厚と内腔の狭小化を認め,肥厚や左室内狭窄の部位診断が可能である.閉塞性肥大型心筋症では,正面像にて僧帽弁前尖の収縮期前方運動により左室流出路で造影剤が薄くなり,W字型またはV字

表18 肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者の病態把握におけるCT 検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレード

肥大型心筋症の患者における冠動脈狭窄の評価I C B

閉塞性肥大型心筋症の患者におけるPTSMA のターゲットとなる心室中隔穿通枝の評価IIa C B肥大型心筋症が疑われるが心エコー図の描出が困難,かつCMR 施行が困難な患者における形態および機能評価IIa C C1

CMR 施行が困難な肥大型心筋症患者における遅延造影効果による心筋性状の評価IIb C C2