p.28 抽出テキスト
肥大型心筋症においては,BMIPPの欠損は,心室中隔の前壁側および後壁側の右室自由壁付着部に好発し,その程度は心筋細胞障害の程度を反映する182).心筋血流トレーサーと比較してより高度なBMIPPの取り込み低下(ミスマッチ現象)は肥大型心筋症ではしばしばみられるが(図13),左室肥大をきたす他の疾患(高血圧性心疾患など)ではみられず,疾患の鑑別に有用である183-186).欠損の低下の程度が強く,範囲が広いほどその後の心事故の発生が多く,生命予後が不良である187, 188). c. 心筋交感神経イメージング I-123-metaiodobenzylguanidine(MIBG)はノルエピネフリンの類似体であり,心筋に対する神経分布密度と交感神経機能を評価できると考えられている.欠損部位は肥大部位と一致し,欠損が強いほど心筋障害が強い189).健常者と比較して中隔心尖部でクリアランスが亢進しており190, 191),収縮能および拡張能が低下するほど,肥大の程度が強いほどクリアランスが大きい192, 193).また,左室全体でのクリアランスの亢進と心室頻拍との関連性も報告されている194, 195). d. RIアンギオグラフィ 肥大型心筋症において,平衡マルチゲート法は左右心室腔を描出することにより形態的に非対称性中隔肥大や,収縮期の左室内腔の狭小化,左室流出路狭窄を検出できる196). また,左室拡張能指標の悪化(最大充満速度の低下,最大充満速度までの時間の延長,等容拡張時間の延長)も検出でき,最大充満速度の低下は,肥大型心筋症の心臓死 の予測因子の1つとなるかもしれない197-200). e. その他 F-18-fluorodeoxyglucose(FDG)を用いたポジトロンエミッショントモグラフィ(positron emission tomography [PET])は心筋糖代謝の評価が可能であるが,肥大した心室中隔で,FDG取り込みが低下201-203)あるいは亢進204)していると報告されている. 変異または野生型トランスサイレチン沈着による心アミロイドーシスではTc-99m- pyrophosphateの心筋への異常集積がみられ,とくに感度が高く診断に有用であると報告されている205-207).肥大型心筋症では集積がみられることはなく,鑑別に有用である. 表17 肥大型心筋症の診断,評価のための核医学検査の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベルMinds 推奨グレード 心エコー図で評価不能な症例での左室の機能診断のためのRI アンギオグラフィIIa C C1変異または野生型トランスサイレチン沈着による心アミロイドーシス除外のためのピロリン酸シンチグラフィIIa B B 心サルコイドーシス鑑別のためのガリウムシンチグラフィあるいはFDG-PET IIa C C1 左室の非対称性肥大診断,予後推定のための心筋血流イメージングIIb C C2 心筋障害診断,予後推定のための心筋脂肪酸代謝イメージングIIb C C2 心筋障害診断,予後推定のための心筋交感神経イメージングIIb C C2 心エコー図で評価可能な症例での左室の形態,機能診断のためのRI アンギオグラフィIIb C C2 図13 肥大型心筋症の心筋血流画像(左)とBMIPP画像(右) 左室垂直長軸像 左室水平長軸像123I BMIPP 99mTc sestamibi