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p.27 抽出テキスト

4.4.4 他の肥大心との鑑別診断

a. 高血圧性心疾患,大動脈弁狭窄

両疾患とも,肥大の形式は求心性肥大を示すことが多い.肥大型心筋症と高血圧性心疾患はときに鑑別が難しいことがあるが,高血圧性心疾患では,左室壁厚は15~16mmにとどまることが多い.高血圧性心疾患と大動脈弁狭窄では,遅延造影陽性はまれと考えられてきたが,最近の報告では,両疾患の高度左室肥大例で50%以上に斑状の線維化が認められるとした報告もある159).T1 mapping法より計測する造影前のNative T1により,肥大型心筋症を高血圧性心疾患と正確に分けることができるとする報告もある160). b. スポーツ心臓

Athlete’s heartの特徴は左室の軽度拡張と左室壁の対称性肥厚(15mm以下)およびドップラーエコー図における正常拡張能である.CMRは左室容積,左室重量および左室機能を正確に再現性高く計測できるため,経胸壁心エコー検査に対して補完的である. c. 左室緻密化障害

CMRは,緻密化部と非緻密化部の描画に優れている.拡張末期の非緻密化部と緻密化部の比が2.4:1.0以上を非緻密化障害の画像診断の診断基準として提唱されている. d. 浸潤性心疾患i. ファブリー病

遅延造影は左室肥大の拡大に関連して広がり,典型例では心基部の下側壁の中層,あるいは心外膜下に認められる161).T1 mappingにおけるNative T1値は,他の肥大心が高いNative T1値を示すのに比べ,低値を示す特徴がある162).とくに,肥大を示す前は,脂質の心筋への蓄積によるNative T1値の中等度低下を示す163).CMRは,本疾患に対する酵素補充療法に伴う左室肥大の退縮の経過観察に用いられる164). ii. 好酸球増加症候群

好酸球増加症候群に伴うLoffer心筋炎では,心内膜下の線維化と壁在血栓を認める.遅延造影では線維化部および炎症部が陽性を示し,さらに,壁在血栓の特定に有用である165). iii. サルコイドーシス

通常拘束型心筋症形態を示すが,とくに炎症の急性期では,炎症部位が肥厚を呈し,非対称性の中隔肥厚のため,肥大型心筋症類似の形態を示し,鑑別が必要となる.遅延造影の分布パターンはさまざまである166). iv. アミロイドーシス

収縮機能は保たれ,びまん性の左室肥厚,心房の自由壁や中隔の肥厚も認められる.CMRでは,基部から中部の

心内膜下に全周性のLGEを認める.ガドリニウム造影剤投与後の心筋のシグナルゼロまでの時間が短いことが特色で,通常の撮影よりも早期に遅延造影の撮影を開始しないと,遅延造影陽性の時間を逃してしまう可能性がある167). T1 Mappingでは高度にNative T1値が延長することが知られている168).

4.5 核医学・CT

4.5.1 核医学検査(表17)

現在,時間分解能,空間分解能のすぐれた心エコー検査・CMRなどの進歩により,肥大型心筋症の形態的,機能的診断における核医学検査の有用性は相対的に低下したと言わざるをえないが,核医学検査では,他の検査法では知ることのできない,心筋血流や心筋代謝,心筋交感神経機能の評価が可能であり,予後の推定に有用である. a. 心筋血流イメージング

塩化タリウム(Tl-201Cl)とテクネシウム(Tc-99m)標識のsestamibi,tetrofosminのいずれの核種も心筋組織への集積は,心筋血流量と心筋細胞の量に依存する.肥大部はトレーサーの高集積として描出されるので,形態的な非対称性肥大の診断が可能である169-171).また,心電図同期収集を行えば,左室局所の収縮能を評価できる.

肥大型心筋症では,負荷タリウム心筋シンチグラフィでみられる再分布現象や固定欠損などの血流異常所見は冠動脈硬化病変以外にも,冠血流予備能の低下,心筋細胞壊死,心筋組織の線維化,瘢痕化などを反映している172-176).

固定欠損は,失神の既往,左室腔,左房径の拡大,左室収縮能の低下,最大酸素摂取量の低下と関連する.また,CMRで評価されるガドリニウムの遅延造影効果との関連性も報告されている177).再分布は必ずしも狭心症症状とは関係しないが,左房径の拡大,左室壁厚の増大と関係し,左室収縮能が保たれている症例でみられることが多い178, 179).

若年者で可逆性欠損を示す患者は致死的不整脈のハイリスク群である180).一方,成人症例において負荷心筋血流イメージングと予後が実際に関連するか否かについては,一定の見解は得られていない181). b. 心筋脂肪酸代謝イメージング

I-123-15-(p-iodophenyl)-3-(R,S)-methylpentadecanoic acid(BMIPP)は心筋の脂肪酸代謝状態に応じて心筋細胞に摂取され保持される.