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p.25 抽出テキスト

解能の高い動画像を任意の断面で撮影が可能で,肥大型心筋症における肥厚の部位と程度の特定や僧帽弁の収縮期前方移動や流出路閉塞の有無の評価に優れている.さらに,ガドリニウム造影剤を用いた遅延造影MRIは,障害された病変部と正常心筋とのコントラスト識別能が高く,造影CTよりも明瞭に障害された心筋や線維化部位を描出可能であるため,肥大型心筋症の診断ばかりでなく,突然死リスク評価を含めた重症度の判定でも貴重な情報をもたらす.

4.4.1 シネMRIによる肥大型心筋症の診断と形態評価

a. 肥厚部位および肥大壁厚の評価

実際の撮影においては,Steady state free procession (SSFP)sequencesの使用が推奨されている.シネMRIは,心臓において左室容積,右室容積,心拍出率,心重量,および局所壁運動評価の基準であることは広く認識されている136, 137).

心エコー検査で肥大が確定できる十分な画像が得られないような症例は,CMRのよい適応となる.CMRはその高い空間および時間分解能のため,血流と心筋との高いコントラストを得られるばかりでなく,イメージング画面や撮像面での制限がない.

すなわち,解剖学的構造の評価においては,CMRは心エコー検査で得られる情報を超えた追加的な情報をもたらす138, 139).また,心エコー検査では観察しにくい部位(前側壁や心尖部)における左室の肥大や僧帽弁や乳頭筋の解剖学的異常のより優れた評価が,シネMRIで可能である138, 140-144)(図11). b. 左室流出路,乳頭筋,弁下部の解剖学的評価

左室流出路の閉塞は,肥大型心筋症の重要な表現型の1つであり,中隔,左室流出路,僧帽弁および乳頭筋の複雑な解剖学的関係で決定される.左室流出路の解剖とフロ―プロファイルの評価の標準となるのは,経胸壁あるいは経食道心エコー検査であるが,CMRの有利な点は,心室中隔の収縮期前方運動と弁下部の状態の描出にある.中部心

室の肥大に関連した中部心室性閉塞も同様に評価が可能である.また,肥大型心筋症では,乳頭筋の異常の頻度が高いため,短軸のシネMRIと同様に,長軸のシネMRIの観察により,弁下部の解剖が観察可能である.とくに,古典的な中隔の非対称性肥厚を有しない,ダイナミックな左室流出路閉塞を有する例で有効である.また,侵襲的なカテーテル治療や外科治療の対象となる症例の僧帽弁や乳頭筋の構造的異常の評価にもCMRは貢献する.さらに,心エコー検査で識別できない,肥大部位の追加や僧帽弁や乳頭筋の構造的異常,あるいは左室流出路閉塞の機能的責任の所在を明確にすることが,CMRでは可能なことが

表16 肥大型心筋症における心臓MRI による臨床的評価の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

心エコー検査では観察しにくい部位(前側壁や心尖部)における左室の肥大や僧帽弁や乳頭筋の解剖学的異常のより優れた評価が,シネMRI で可能であるI A B II

CMR における遅延造影パターンは肥大型心筋症と他の肥大心との鑑別に有用であるI B B IVa

遅延造影の有無と広がりは,肥大型心筋症の突然死,心臓死および総死亡と有意に関連するI A B IVa

図11 肥大型心筋症のシネMRI A: 非対称性中隔肥

大を示す肥大型心筋症

B: 心尖部肥大型心

筋症

C: 心尖部瘤を伴っ

た中部閉塞性肥大型心筋症