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p.22 抽出テキスト

一部の症例では経過中に,肥大した心室壁厚が減少,さらに菲薄化し,正常収縮ないし過収縮している壁運動が低下,左室内径は増大傾向から左室拡大に至り,左室拡張と収縮能障害からついにはうっ血性心不全など拡張型心筋症と類似の病態を示し120),拡張相肥大型心筋症と分類される.これらの症例は予後不良と考えられ,日本の心臓移植症例の約10%を占めている. ii. 左室拡張機能,血行動態

肥大型心筋症では左室拡張機能は障害されている.肥大型心筋症における典型的な左室流入血流異常は拡張早期波(E波)の低下,その減速の延長および心房収縮期波(A波)の増高であるが,進行すれば,いわゆる偽正常化波形(pseudonormalized pattern)や拘束型波形(restrictive pattern)となる121).これらの波形は左房圧の上昇が一因と考えられているが,一方,肥大型心筋症は左室駆出率が保たれており,左室拡張期内圧は左室流入血流速波形から予測困難ともいわれ122),組織Doppler法による僧帽弁輪運動速度の早期拡張速度(e′)とE波の最大血流速度の比(E/ e′),三尖弁逆流速度,左房容積拡大の有無が用いられる(図8)

123).これらの左室拡張機能低下,また心房細動によ

表14 肥大型心筋症における経胸壁心エコー検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレード

肥大型心筋症が疑われる患者における形態診断評価,とくに拡張期壁厚評価1)肥大型心筋症の診断,心機能・血行動態・合併症の評価2)肥大の分布・程度の評価3)収縮機能・拡張機能の評価4)左室流出路閉塞の有無,ある場合はその程度評価5)僧帽弁逆流の合併の有無,ある場合はその程度評価I B B

肥大型心筋症の確定診断患者で心機能,血行動態による心不全重症度の評価I C B肥大型心筋症と診断が確定している患者で1)症状に変化があった場合の上記評価点の再評価2)臨床的に感染性心内膜炎が疑われる場合の疣贅の有無の評価*必要に応じて経食道心エコー法を併用する(表15 参照) I C C1肥大型心筋症の確定診断患者で,安静時左室流出路速度による推定圧較差50mmHg 未満の症例におけるバルサルバ手技,または立位テストI C C1肥大型心筋症の確定診断患者で,症状があり安静時左室流出路速度による推定圧較差50mmHg 未満の症例における運動負荷テストIIa B C1

肥大型心筋症と診断が確定している場合で,とくに変化がない場合のフォローアップIIa C C1肥大型心筋症の確定診断患者で症状がなく,バルサルバ手技,または立位テストにおいても左室流出路速度による推定圧較差50mmHg 未満の症例における運動負荷テストIIb C C2

家族歴のある例におけるスクリーニングIIb C C2

図8 HFpEF 患者における拡張能障害の診断(Nagueh SF, et al. 2016 123)を参考に作図)

LVEF>50%

3または4項目陰性2項目のみ陽性3または4項目陽性

正常の拡張能判断不能拡張能障害あり

1. 平均E/e′>14 (中隔側E/e′>15 または 側壁側E/e′>13) 2. 中隔側 e′<7 cm/秒 または 側壁側 e′<10 cm/秒3. 三尖弁逆流速度(TRV)>2.8 m/秒4. 左房容積係数(LAVI)>34 mL/m2