p.17 抽出テキスト
異はWPW症候群に伴う肥大型心筋症様病態を示す糖原病の原因となる47-49).Danon病は,LAMP-2遺伝子変異により生じるミオパチー,精神遅滞,心筋障害を3主徴としたX連鎖性遺伝型のまれな疾患である50, 51).肥大型心筋症類似の心肥大を認める.MELASなどのミトコンドリア病やFriedreich失調症などの神経筋疾患では全身症状の一所見として心筋肥大を認める.また,心肥大誘導経路であるRas/MAPKシグナルの関連蛋白異常が原因であるNoonan症候群,LEOPARD症候群,Castello症候群でも心肥大を認める52-54). 心アミロイドーシスは,骨髄形質細胞の異常を基盤に発生するALアミロイドーシスとトランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスが大部分である55-57).TTRアミロイドーシスは,TTR遺伝子変異を原因とする遺伝性ATTRアミロイドーシス(従来の家族性アミロイドポリニューロパシー)と,TTR遺伝子変異を認めない野生型TTRの沈着による全身性野生型ATTRアミロイドーシス(老人性全身性アミ ロイドーシス)に分類される.アミロイドーシスの確定診断には組織におけるアミロイド沈着を病理組織学的に証明する必要があるが,侵襲的検査である心筋生検は,とくに高齢者では施行しにくい場合が多く,腹壁脂肪や上部消化管粘膜の生検が行われる. 99mTc-PYPピロリン酸心筋シンチグラフィがATTR心アミロイドーシスのスクリーニングとして注目されている(第3章4.5核医学の項参照).TTRが証明された場合,遺伝性ATTRアミロイドーシスと全身性野生型ATTRアミロイドーシスを鑑別するため,遺伝子検査が必要である. 急性心筋炎では炎症細胞浸潤や心筋浮腫により心肥大を生じる58).糖尿病罹患母体からの出生児や褐色細胞腫,巨人症など,内分泌疾患が原因で心肥大を呈することがあり59-61),さらにステロイド製剤などの薬剤で心肥大が誘導されることもある62). これらの肥大型心筋症類似心肥大の鑑別には,既往歴,家族歴,心外症状,心電図,採血,特殊検査などを順を追って評価・実施する必要がある63).表11に肥大型心筋症の鑑別に有用な心外症状を示す. 表10 肥大型心筋症類似心筋肥大を示す二次性心筋症 代謝異常 糖原病Pompe病,PRKAG2遺伝子異常,Danon病,Forbes病脂質蓄積全身性Carnitine欠損症ライソゾーム病 ファブリー病ミトコンドリア病 MELAS病,MERFF病神経筋疾患 Friedreich失調症,FHL-I遺伝子異常Malformation Syndromes Ras/MAPK関連蛋白異常 Noonan症候群,LEOPARD症候群,Castello症候群浸潤性疾患 心アミロイドーシス 家族性,遺伝性TTR,全身性野生型TTR, ALアミロイドーシス炎症性疾患 急性心筋炎内分泌疾患 糖尿病罹患母体からの出生児褐色細胞腫,巨人症薬剤 ステロイド,タクロリムス,ヒドロキシクロロキン(Elliott PM, et al. 2014 7)を参考に作表)表11 肥大型心筋症類似心肥大の鑑別に有用な心外症状 症状疑うべき疾患 学習障害,精神発達遅滞ミトコンドリア病Danon病Noonan症候群感音性難聴ミトコンドリア病ファブリー病眼症状・外眼筋麻痺,網膜色素変性症・硝子体混濁,緑内障・角膜混濁ミトコンドリア病アミロイドーシスファブリー病手根管症候群アミロイドーシス筋力低下ミトコンドリア病糖原病四肢末端痛,無汗症ファブリー病被角血管腫ファブリー病 腎障害ミトコンドリア病アミロイドーシスファブリー病(Rapezzi C, et al. 2013 63)を参考に作表)