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p.12 抽出テキスト

本ガイドラインにおける心筋症の定義と分類

本ガイドラインでは,従来からのわが国の診断の手引きにおける定義・分類に準拠しながら,実際の日常診療において心筋症を正しく診断するうえで指標になる基本的な思考過程を重視した.その意味では,2008年のESCの分類に近い.図3に示すように,心室壁の肥厚や心腔拡大に大別される形態,収縮能および拡張能といった機能の低下,次に,家族歴や遺伝子変異の有無についての十分な検討と検索を重視し,心筋症,すなわち「心機能障害を伴う心筋疾患」のうち,いわゆる「原発性」(以前からの「特発性」)心筋症を,肥大型心筋症,拡張型心筋症,不整脈原性右室心筋症,拘束型心筋症,の4つに分類した.原発性心筋症の4つの基本病態の一部は重複を示し,相互に鑑別が困難なこともしばしばある.この基本病態の重なりを明示したのが本ガイドラインの心筋症の定義と分類における重要なポイントの1つである.さらに2008年のESCの分類と異なる点は,これら4つの原発性心筋症の診断は可能なかぎり二次性心筋疾患/二次性心筋症(「特定心筋疾患」ないし

2005年の診断の手引きにおける「特定心筋症」) *を鑑別したうえで確定されるべきとする,これまでのわが国の心筋症の概念を継続するものである.現状では4つの基本病態に分類できない心筋症を分類不能心筋症(unclassified cardiomyopathy)とする.

* 日本循環器学会用語集第三版に基づき,以下を原発性心筋症と二次性心筋疾患として表記を統一すべきであるが,二次性心筋疾患に関しては,改定前のガイドラインで「二次性心筋症」の用語が使用されており,わが国の臨床の現場でも二次性心筋症の用語を使用することが多く,以下二次性心筋症で統一する.また,「特発性」という表現も,心筋症の原因の一部が解明された現在,適切ではない部分があるが,厚生労働省指定難病事業で「特発性拡張型心筋症」の病名が指定難病として使用されており,本ガイドラインでは「特発性」の用語を使用するものとする.

図3本ガイドラインにおける心筋症の定義と分類

*4つの基本病態に分類できない心筋症を分類不能心筋症(unclassified cardiomyopathy)とする.

心肥大・ 心拡大・収縮能/拡張能低下形態・機能変化

(既知/未同定病因遺伝子変異)非家族性/

非遺伝性

心アミロイドーシス

など

・円の重なりは一部重複した病態を示す.・点線内は,特定心筋疾患に該当する.

虚血性心筋症心サルコイドーシス心筋炎周産期心筋症薬剤性心筋症アルコール性心筋症など

高血圧性心疾患ファブリー病ミトコンドリア心筋症など

家族歴・遺伝子変異

鑑別すべき疾患(二次性心筋症)

特発性(原発性)心筋症としての病名拘束型心筋症肥大型心筋症拡張型心筋症不整脈原性右室心筋症

家族性/遺伝性