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定義と分類を提唱した(図1) 4).AHA分類における心筋症の定義は,「心筋症はしばしば(必ずではない)心室の肥大や拡張を示す機械的および・または電気生理学的機能異常を伴う一群の疾患である.その原因は多岐にわたるがしばしば遺伝性である.心臓死や心不全の原因となりうる」であり,病変の首座が心臓にある心臓原発性と全身疾患の心病変である二次性心筋症に大別している.原発性心筋症は遺伝性,混合型(遺伝性と後天性),後天性の3つに分類され,QT延長症候群やBrugada症候群などのイオンチャネル病も遺伝性に含まれた. これに対して,2008年に発表された欧州心臓病学会(ESC)の分類(図2) 5)は1995年のWHO/ISFC分類の延長上に位置するものであるが,心筋症の定義は「冠動脈疾患・高血圧・弁膜症・先天奇形によるものではない,構造的・機能的異常を伴う心筋疾患」とされ,二次性心筋症という概念が排除されている.この分類ではAHA分類と同様,遺伝性/非遺伝性という概念を導入しており,形態・機能的異常をもとにした分類である. 近年,心筋症に関連した多くの遺伝子変異が同定され,今後もさらに変異を含む家系や機能が明らかとなり,ESCや米国心臓病学会(ACC)でも,いわゆる「原発性心筋症」は,そのほとんどが既知あるいは未知の遺伝子異常または自己抗体によるものであろうという考えが主流となってきた.遺伝的素因にさまざまな環境因子が加わることで,表現型も異なってくることから,心筋症を,治療に必要な情報としての形態と機能を主軸として,形態と機能(M: Morpho-functional phenotype),罹患臓器(O:Organ/ system involvement),遺伝子変異(G:Genetic inheritance pattern),原因や病態(E:Etiology),ステージや重症度(S:Stage)までを統合して表記する方法としてMOGE(S)の分類体系が提案された(表7) 13).診断およびリスクの理 解と経時的な重症度,さらなる治療法・突然死の予防の選択へとつながることが期待できる新たな表記法として注目されている.このように,定義と分類についての見解は,日米欧それぞれの分類が一定していないのが現状である.また,用語の使用方法も統一されていない. 表6特定心筋疾患(1995 年WHO/ISFC) 虚血性心筋疾患弁膜性心筋疾患高血圧性心筋疾患炎症性心筋疾患(心筋炎など)代謝性心筋疾患 内分泌性― 甲状腺中毒性,甲状腺機能低下症,副腎皮質不全,褐色細胞腫,末端肥大症,糖尿病など蓄積性― ヘモクロマトーシス,グリコーゲン蓄積症(ハーラー病,ハンター病),レフスム病,ニーマン・ピック病,ハンド・シュラー・クリスチャン病,ファブリー病,モルキオ・ウールリッヒ病など欠乏性― カリウム欠乏,マグネシウム欠乏,栄養失調(貧血,脚気,セレニウム欠乏),家族性地中海熱など全身性心筋疾患―膠原病,サルコイドーシス,白血病,肺性心など筋ジストロフィ―デュシェンヌ型,ベッカー型,強直性筋萎縮症など神経・筋疾患―フリードライヒ失調症,ヌーナン症候群など過敏性,中毒性疾患―アルコール性心筋症,薬剤性,放射線性など産褥性心筋疾患(McKenna W, et al. 1996 3)を参考に作表) 図1米国心臓協会(AHA)による心筋症の定義と分類(Maron BJ, et al. 2006 4)より) ©2006 American Heart Association, Inc. 一次性心筋症(心筋に主な病変があるもの) 遺伝性 肥大型心筋症拡張型心筋症 拘束型心筋症(左室肥大・拡大なし)炎症(心筋炎) 産褥心筋症頻脈誘発型 QT延長症候群Brugada症候群QT短縮症候群カテコラミン誘発性多型心室頻拍特発性心室細動 不整脈原性右室心筋症左室緻密化障害糖蓄積病(PRKAG2,Danon病)心伝導障害ミトコンドリア心筋症イオンチャネル病混合性後天性ストレス誘発型(タコツボ型) インスリン依存性糖尿病母から生まれた小児