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p.48 抽出テキスト

ラスIII に分類され,高リスク妊娠になる47).三尖弁置換術後は2 章3. 弁膜症の項に,ペースメーカ植え込みは2章6.3 抗不整脈治療の項に従う.一部の症例に,従来の修復方法と異なり,左室を体心室とするdouble switch手術***が行われている230).この術式は,妊娠時の容量負荷に十分耐え得ると考えられるが,現時点で出産経験の報告は確認できない.

体心室である右室の三尖弁逆流を伴う疾患であり,修復術後も,人工弁や何らかの遺残病変・続発病変が残ることが多いため,IE のリスクは高いと考えられる.以上から,分娩時の心内膜炎予防を推奨する. *** double switch 手術:心房位と大血管の血流転換手術を同

時に行い,最終的に左室が体心室となる(心房位変換術であるMustard 手術もしくはSenning 手術と,大血管位変換手術のJatene 手術もしくは心外導管手術の組み合わせで行われる.術式の詳細については,「成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)」79)を参照されたい).

1.3 チアノーゼ性心疾患(修復術後)

Fallot 四徴症,完全大血管転位症,修正大血管転位症,両大血管右室起始症,単心室血行動態症候群など,複合型先天性心疾患患者の妊娠・出産が年々増加している.各疾患の特徴はもちろん,どのような修復術または姑息術が行われたかによって,妊娠出産時のリスクや管理における注意点もさまざまである.

チアノーゼ性先天性心疾患は,修復術後も含めて,IEのリスクが決して低くないが,分娩時や産科的手術・手技の際の抗菌薬予防投薬は,エビデンスの観点からACC/ AHA のガイドラインでは必ずしも推奨されていない6) (第1 章9. 感染性心内膜症を参照のこと).ただし,罹患した時の深刻さを勘案すれば,予防投薬は不要と断定するよりは,現時点では各主治医の判断にゆだねるとすべきであろう.

1.3.1 Fallot 四徴症修復術後

修復されている場合の多くは,妊娠・出産が可能である232)(レベルB).妊娠・出産のリスクは,心機能,遺残症,続発症の程度と循環動態の良否に左右される.妊娠前に心エコー,ホルター心電図検査,心MRI などで現状の評価をしっかり行っておくことが重要である.一般には, NYHA 心機能分類I 度の場合は,心不全や不整脈の合併は少なく,安全に出産にまで至ることが多い.

近年,Fallot 四徴症修復術後患者の妊娠出産は非常に増加していることが推測されるが,これまでに多数例や多施

設での検討は少ない.軽度から中等度の肺動脈狭窄・逆流以外に,循環動態に大きな異常がない場合は,妊娠・出産リスクは一般の妊娠に近い233, 234).しかし,高度右室流出路狭窄遺残,高度肺動脈弁逆流(三尖弁逆流を伴うことが多い),右室機能不全などを伴う場合は,妊娠による容量負荷が加わるため,右心不全の増強,上室頻拍・心室頻拍などの不整脈を合併することがあり,十分な注意が必要である235, 236)(レベルB).多数例の報告ではなく,選択された症例の重症度によって頻度は違うが,8 ~20% に心血管系の合併症を認める237).とくにNYHA 心機能分類II 度の場合は,妊娠中の不整脈を認めることが多く,出産後の心不全も1/3 程度に出現する.また,出産後に大動脈拡大や大動脈弁逆流が増悪し,大動脈弁置換術が必要となることもある238).

産科的合併症や児の合併症は,母体の心血管系合併症より多い.産科的合併症としては,帝王切開の20% をかわきりに,機械分娩,後産期出血,分娩II 期の遷延などをあわせて50% を超えるという報告がある.児の合併症も30% と多いが,大部分は在胎不当過小児(small for gestational age: SGA)と早産である.胎児リスクもやや高く,一般と比べると,流産率は少なくとも2 倍である236) (レベルC).児のリスクについては胎盤血行の異常と右心不全との関連を指摘する報告もあり,今後研究がまたれる239).

妊娠の際の危険因子は,遺残VSD,中等度以上の肺動脈弁狭窄・逆流,中等度以上の大動脈弁逆流,上行大動脈拡張(40 mm 以上),右室機能不全,左室機能不全(駆出率40% 以下),頻脈性不整脈の既往,未修復例,内服薬の使用などである5, 236, 240, 241)(レベルB).心血管イベントの予測因子として,妊娠中期の血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が有用であり,イベント発生群では100 mg/dL を超える例が多いとの報告もある126).

また,ときに肺高血圧合併している症例(とくにVSD兼肺動脈閉鎖)があり,この場合のリスクは非常に高い(第2 章2. 肺高血圧症を参照のこと).22q11.2 欠失症候群は50% の再発危険率のため,適切な遺伝カウンセリングと児の心疾患に注意を払う必要がある5).しかし,Fallot四徴症に合併した同症候群の妊娠例の報告は非常に少ないのが現状である.

VSD 兼肺動脈閉鎖の修復術後は,妊娠・出産が可能であるが,流産率や合併症発生率が高い.また,無月経などの母体異常も認めることが多いとされるが,妊娠出産に関する報告はいまだ少ない126).

まとめると,Fallot 四徴症修復術後は,多くの場合は良