p.47 抽出テキスト
後は良好である47, 208, 221)(レベルB).妊娠前NYHA 心機能分類II 度以上の症例では,心不全を合併することがある221).肺高血圧症残存例は「肺高血圧症」の項に従う(第2 章2. 肺高血圧症を参照のこと). 大動脈弁逆流が合併する場合,妊娠中の容量負荷増大により心不全が発症することもあるが,通常,妊娠中の末梢血管抵抗低下が有利に働くため,妊娠・出産には比較的よく耐えられる5)(レベルB).大動脈弁逆流の悪化に対しては血管拡張薬が有効である223)が,ACE 阻害薬は胎児腎毒性と催奇形性の可能性があるため,妊娠中は禁忌である. 1.2.3 心内膜床欠損症(房室中隔欠損症)術後 遺残症や肺高血圧がなく,NYHA 心機能分類I ~II 度であれば,妊娠によく耐容する208)(レベルB).遺残症(房室弁逆流および狭窄,左室流出路狭窄),不整脈(上室頻脈,完全房室ブロック),肺高血圧症などが問題となるため,妊娠前の十分な心機能評価が必要である.内臓心房錯位症候群** に合併した房室弁逆流は進行する可能性が非合併例より高く,また,洞性徐脈,完全房室ブロック,上室性頻脈の発生率も高い223a, 224, 225).したがって,妊娠中の心不全や不整脈の出現には注意を要する220).肺高血圧症残存例は「肺高血圧症」の項に従う(第2 章2. 肺高血圧症を参照のこと). 悪化した房室弁逆流に対して心不全治療を行う場合があるが,ACE 阻害薬の使用は胎児腎毒性と催奇形性の可能性から禁忌となる. ** 内臓心房錯位症候群(heterotaxy syndrome):無脾症 (asplenia)または右側相同(right isomerism),多脾症(polysplenia)または左側相同(left isomerism)とよばれる,内臓位置異常と心臓血管異常を合併する症候群である.胸腹部内臓および心臓大血管の通常の左右関係が崩れる(錯綜,錯位する)ために,この用語となっている. 1.2.4 動脈管開存症閉鎖術後 問題なく治療されている場合はmodified WHO 分類はクラスI に分類され,妊娠によく耐容する47, 221)(レベルB).コイル塞栓術後も基本的に同じである. 1.2.5 肺動脈弁狭窄症術後 問題なく治療されている場合はmodified WHO 分類はクラスI に分類され,妊娠・出産によく耐容する47, 221)(レベルB).有意な狭窄が残存している例では,妊娠前にカテーテル治療あるいは再手術を考慮する. 1.2.6 先天性大動脈弁狭窄症術後 Konno 手術後は,第2 章3. 弁膜症の項に準じる.Ross手術後は,大動脈二尖弁や大動脈縮窄症と同様に,妊娠による大動脈壁組織の変化が元来の壁異常を助長するため,大動脈拡張の進行に注意を要する44, 226).非手術例同様,大動脈拡大を伴う症例では,大動脈径の拡大に伴って妊娠のリスクが増加する47).Ross 手術後の妊娠において,大動脈弁位の自己肺動脈弁や肺動脈弁位の移植弁への悪影響はなく,妊娠中や妊娠後の母体合併症はなかったという報告がある227).抗凝固療法を必要としないRoss 手術は,機械弁の使用を避けられるため,大動脈弁置換術を必要とする若年女性にとって,考慮に値する術式と考えられる. Ross 手術は自己組織の置換であるが,右室流出路は人工物を使用することが少なくないため,IE のリスクは高い.よって,分娩時の心内膜炎予防を推奨する(レベルB). 1.2.7 Ebstein 病術後 右心機能が悪く,有意な三尖弁逆流を伴い,右室拍出量が少ないため,妊娠中の容量負荷時に右房拡張を生じ,上室不整脈を伴うリスクがある.外科的治療としては,三尖弁弁形成術(Cone 手術,Carpentier 手術),三尖弁弁置換術,one and one half repair などさまざまである.生体弁による三尖弁置換術後では,容量負荷増大により弁機能の低下や右心不全悪化が起こることがある(第2 章3. 弁膜症を参照のこと).WPW 症候群による上室頻脈も心不全を増悪させる.妊娠前のNYHA 心機能分類I ~II 度であれば,妊娠に耐容する217)(レベルB).母体の心合併症は少ないが,流早産率が高いとされる217).弁形成術後でも何らかの遺残弁病変が残ることが多いため,人工弁置換術後の場合も含めて,IE のリスクは高いと考えられる.そこで,基本的に,分娩時の心内膜炎予防を推奨する(レベルB). 1.2.8 修正大血管転位症術後 修正大血管転位症は,体心室が解剖学的右室であり,その心室の房室弁である三尖弁はEbstein 病様形態異常を伴うことがある.右室機能低下が加齢とともに現れ,三尖弁逆流の出現増悪が心機能低下を悪化させる218).完全房室ブロック合併の頻度も高い229). 手術は合併する心内異常による.単なるVSD 閉鎖,右側心室(形態的左室)肺動脈間に心外導管を使う心外導管手術,三尖弁置換術などである.房室ブロックにはペースメーカ植え込みを行う場合もある. 体心室が解剖学的右室であり,modified WHO 分類はク