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p.27 抽出テキスト

ない妊娠高血圧症候群や多胎妊娠でもナトリウム利尿ペプチドは増加し,産後2 ~3 日目にピーク値をとるため,陰性的中率のほうが有意な指標とされている47).また,日本における周産期心筋症診断時の平均BNP 値は1,258 pg/ mL と非常に高値であり,既往症のない妊産婦に対する心不全スクリーニングに有用な検査である150).

6 出生前診断

6.1 検査および診断の種類

妊娠前半期に行われる出生前検査および診断には,母体血清マーカーや,羊水,絨毛,臍帯血,母体血液中等の胎児・胎盤由来細胞やDNA/RNA,その他の胎児試料などを用いた細胞遺伝学的,遺伝生化学的,分子遺伝学的,細胞・病理学的方法,および超音波検査などを用いた物理学的方法などがある.

出生前検査および診断には,確定的検査(診断がほぼ確定)と非確定的検査(正確な診断には確定的検査がさらに必要)の2 つがある.絨毛・羊水検査は確定検査であり,胎児超音波検査,母体血清マーカー検査および母体血を用いた胎児染色体検査は,非確定的検査である.

6.2 実施対象

絨毛採取,羊水穿刺など,侵襲的な出生前検査・診断は,下記のような場合の妊娠で夫婦からの希望があり,検査の意義について十分な理解が得られた場合に行う. • 夫婦のいずれかが染色体異常の保因者である場合• 染色体異常症に罹患した児を妊娠,分娩した既往を有す

る場合• 高齢妊娠の場合• 妊婦が新生児期もしくは小児期に発症する重篤なX 連

鎖遺伝病のヘテロ接合体の場合• 夫婦のいずれもが,新生児期もしくは小児期に発症する

重篤な常染色体劣性遺伝病のヘテロ接合体の場合• 夫婦のいずれかが,新生児期もしくは小児期に発症する

重篤な常染色体優性遺伝病のヘテロ接合体の場合• その他,胎児が重篤な疾患に罹患する可能性のある場

合6.3 注意点

6.3.1 遺伝学的検査および診断

日本産科婦人科学会の「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」151)を尊重し,倫理的および社会的問題を包含していることに留意することが重要である.

とくに以下の点に注意して実施する. • 胎児が罹患児である可能性(リスク),検査法の診断限

界,母体・胎児に対する危険性,副作用などについて検査前によく説明し,十分な遺伝カウンセリングを行うこと(第1 章3.5 遺伝カウンセリングを参照のこと). • 検査は,十分な基礎的研修を受けて,安全かつ確実な

検査技術を習得した産科医により,またはその指導の下に行われること.

6.3.2 超音波検査

ソフトマーカーを用いた遺伝学的検査と胎児形態異常を診断するための精密検査がある(第1 章7. 胎児評価法を参照のこと).ソフトマーカーには,胎児後頚部の浮腫(nuchal translucency),鼻骨低形成などが含まれる.実施に際しては,日本産科婦人科学会の産婦人科診療ガイドライン産科編152)を参照する.

6.3.3 母体血清マーカー検査

厚生科学審議会先端医療技術評価部会出生前診断に関する専門委員会による「母体血清マーカー検査に関する見解」153),日本人類遺伝学会倫理審議委員会による「母体血清マーカー検査に関する見解」154),および日本産科婦人科学会周産期委員会による報告「母体血清マーカー検査に関する見解について」155)を十分に尊重して施行する.

6.3.4 母体血を用いた胎児染色体検査

母体血漿中に循環する胎児由来cell-free DNA を利用して胎児染色体異常の可能性の高さを推測する検査である.本検査は,認定された施設で実施され,その実施に関しては「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」156)を順守して行われる.対象疾患は,21トリソミー, 18トリソミー,13トリソミーに限定されている.

6.3.5 着床前検査および診断

きわめて高度な技術を要する医療行為であり,臨床研究として行われる.倫理的側面からもより慎重に取り扱う.実施に際しては,日本産科婦人科学会会告「着床前診断に