GL検索 v0.1.0
画像は 10 ページを描画したものです
page 10

p.10 抽出テキスト

によって,心拍出量は15 ~25% 増加し,一過性に心拍数や血圧は上昇する25, 26).仰臥位では,増大した子宮が腹部大動脈と下大静脈を圧迫するため,多少でもリスクのある心疾患合併妊婦の陣痛管理には左側臥位が好ましい.分娩進行時の怒責は,循環動態の急激な変化の原因となるため,少なくともNYHA 心機能分類II 度以上の妊婦は,硬膜外麻酔などの麻酔分娩の適応とされている27–30).

分娩時の母体出血量は経膣分娩で500 mL 程度(帝王切開では約2 倍)であり,妊娠中にもたらされた循環血漿量の増大で補われる範囲である.分娩直後は子宮による下大静脈の圧迫が解除され,急激な静脈還流の増加が起こる.分娩直後,一過性に増加した心拍数や血圧は,娩出後10分程度で元のレベルに戻る.増加していた心拍出量は,分娩後1 時間以内に10 ~20% 低下する.妊娠中に増加した循環血漿量のため,分娩後は一過性に容量負荷の状態をきたす.分娩後,循環動態が正常化するまでには約4 ~6 週間かかるといわれている25, 26).これらの急性変化は分娩直後の心機能にも影響を及ぼす可能性がある38, 39).

1.2 血液学的変化

妊娠前期から中期にかけて,赤血球容量の増加以上に循環血漿量が増加するため,ヘモグロビン値やヘマトクリット値が低下し,相対的貧血状態となる.腎臓でのエリスロポエチン産生亢進によって増加した赤血球は,より厚く球状に変化し,胎盤の通過に適した形態へと変化する25).白血球数は好中球を主体に増加し,平均9,000 ~11,000/mm3となり,妊娠末期には18,000/mm3 程度まで上昇することがある.分娩時は平均13,000/mm3 である.血小板数は軽度減少することがあるが,正常値以下まで低下することはない.妊娠後期には,血漿フィブリノーゲン,von Willebrand 因子,第V,VII,VIII,IX,X,IX 因子が増加し活性化される.このため,妊娠期間中は,血栓・塞栓症のリスクが高くなる25, 26, 40, 41).血栓症のリスクのある患

図1 妊娠に伴う循環動態の変化(Robson SC, et al. 1989 23),Johnson M, et al. 2016 24)より作図)

100 90

80 70

60 50 4 8 12 16 20 24 28 32 36 120 115

110 105

100 95

90 85

80 4 8 12 16 20 24 28 32 36

8 7 6 5 4

3 2 4 8 12 16 20 24 28 32 36 4 8 12 16 20 24 28 32 36

妊娠前出産後妊娠前出産後

妊娠前出産後妊娠前出産後

1,500 1,400 1,300 1,200 1,100 1,000

900 800

700 600

A.心拍数(拍/分) B.収縮期血圧(mmHg)

C.心拍出量(L/分) D.体血管抵抗(dyne•秒•cm‒5)

(拍/分)

(L/分) (週)

(週) (週)

(週)

(mmHg)

(dyne・秒・cm-5)